現代の都市が抱えるさまざまな課題を解決する取り組みとして注目を集めるスマートシティ。官民が連携し、国内でもさまざまな試みが進められています。今回は、最新の情報も交えながら、スマートシティ国内の13の事例を取り上げて紹介します。
- スマートシティとは
- スマートシティ国内事例13ヶ所
- 01. 静岡県裾野市「トヨタ ウーブンシティ」
- 02. 千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」
- 03. 東京都港区「ソフトバンクによるスマートシティ実証実験」
- 04. 神奈川県藤沢市「Fujisawa SST」
- 05. 福島県会津若松市「スマートシティ会津若松」
- 06. 北海道札幌市「DATA-SMART CITY SAPPORO」
- 07. 神奈川県横浜市「横浜スマートシティプロジェクト」
- 08. 福岡県北九州市「北九州スマートコミュニティ創造事業」
- 09. 兵庫県加古川市「スマートシティプロジェクト」
- 10. 福岡県福岡市「FUKUOKA Smart EAST」
- 11. 香川県高松市「スマートシティたかまつ」
- 12. 埼玉県さいたま市「スマートシティさいたまモデル」
- (13)熊本県荒尾市「荒尾ウェルビーイングスマートシティ」
- スマートシティは、自分が住む街が抱える課題の解決策
スマートシティとは
スマートシティをわかりやすく言ってしまえば、「ICT技術やビッグデータなどを使って、そこに住む人が便利で快適に過ごせるような都市」ということになります。
ではなぜそんな都市が必要なのでしょうか?国や自治体、企業などがスマートシティの実現に力を注いでいるのは、ただ単に人が過ごしやすい都市を作るためではありません。
近い将来、少子高齢化、インフラの老朽化、交通渋滞の激化、そして地球環境の悪化など、世界の先進都市の多くが今より深刻な課題を抱えることになると想定されています。大げさでなく、社会は崩壊の危機に瀕しているのが現状の中、課題を解決するための取り組みとしてスマートシティ構想が進められているわけです。
国内のスマートシティの取り組みは、官と民とが協力する形で進められています。まだ実験段階にありますが最新の事例を紹介しましょう。
スマートシティ国内事例13ヶ所
01. 静岡県裾野市「トヨタ ウーブンシティ」

国内のスマートシティの事例としてもっとも知られているのが、2021年に始動した、裾野市で進められているトヨタ ウーブンシティ」ではないでしょうか。新技術を検証するための実証都市として位置づけられ、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティのほか、AIやスマートホームシステムなどを導入した生活環境の整備が進められています。2021年5月には、水素エネルギーの利活用について、ENEOSと協働を進めることが発表されました。
参考リンク:https://www.woven-city.global/jpn
02. 千葉県柏市「柏の葉スマートシティ」
柏市の「柏の葉スマートシティ」では、「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」の3つのテーマのもと、さまざまな実証実験が進行中です。自動運転バスを導入したほか、駅周辺にホテル、商業施設、オフィス、研究機関、病院、銀行などの施設を集中させ、AIカメラやセンサを設置して人流を解析。混雑の緩和やマーケティングへの活用が試みられています。
参考リンク:https://www.kashiwanoha-smartcity.com/
03. 東京都港区「ソフトバンクによるスマートシティ実証実験」

東京都港区は、ソフトバンクや東急不動産と共同したスマートシティプロジェクトを進行しています。エレベーターなどの混雑状況をリアルタイムで把握したり、専用アプリを使って家電の一括操作を可能にしたりできるスマートビルを構築。また、自律走行型配送ロボットがコンビニの商品を配送するなど、さまざまな領域で検証実験が進められています。
参考リンク:https://www.softbank.jp/biz/dx/takeshiba/
04. 神奈川県藤沢市「Fujisawa SST」
藤沢市では、住人の暮らしの起点となる街作りを目指した官民一体のプロジェクトとして、「Fujisawa SST」に取り組んでいます。すべての戸建住宅には、太陽光発電システム&蓄電池、電力をマネジメントする「スマートHEMS」が設置され、エネルギー使用を最適化する試みが進められてきました。自然の恵みを取り入れた持続可能な街作りの実現に向けて進行中です。
参考リンク:https://fujisawasst.com/JP/project/
05. 福島県会津若松市「スマートシティ会津若松」
会津若松市では、ICT技術をはじめとするデジタルテクノロジーを活用した、持続・回復力のある地域社会、安心して過ごせる街作りを目指し、「スマートシティ会津若松」に取り組んでいます。スマートメーターを使った電力の消費データの収集・分析によって省エネをマネジメントしたり、地理情報システムによってバス路線を最適化したりと、「まちの見える化」に取り組んでいます。
参考リンク:https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2013101500018/
06. 北海道札幌市「DATA-SMART CITY SAPPORO」

札幌市では、官民データが保有するデータを協調して利活用できる環境の整備実現を目指して事業を推進しています。事業の基盤となっているのが「札幌市ICT活用プラットフォーム DATA-SMART CITY SAPPORO」です。「データカタログ」「ダッシュボード」「データ活用アイデア」の3つのコンテンツから構成され、単に官民データが収集・管理されるだけでなく、イノベーションが創出されるきっかけとなることが期待されています。
参考リンク:https://data.pf-sapporo.jp/#idea
07. 神奈川県横浜市「横浜スマートシティプロジェクト」
横浜市では、2010〜2014年度にかけて、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」が実施されました。市街地におけるエネルギー需給バランスの最適化を目指し、4,200件のHEMS、37MWの太陽光パネル、2,300台の電気自動車を導入。現在は、実証実験で培ったノウハウを実装すべく、「横浜スマートビジネス協議会(YSBA)」を立ち上げ、エネルギー循環都市を目指した活動を続けています。
参考リンク:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/etc/yscp/
08. 福岡県北九州市「北九州スマートコミュニティ創造事業」

北九州市では、2011〜2016年にかけて、「北九州スマートコミュニティ創造事業」が実施されました。次世代サービスステーションを設置しての「エコドライブ総合支援システム」や、スマートメータを使った「見守りサービス」、ICTを用いた「コミュニティバスサービス」などの実証実験を実施。とくにエネルギーマネジメントの分野では、変動型の料金制度「ダイナミックプライシング」を取り入れることで、10%程度の省エネが達成されました。現在は、実証成果をインフラ整備に活かす試みが進められています。
参考リンク:https://www.smart-japan.org/english/vcms_cf/files/Kitakyushu_Project_Japanese.pdf
09. 兵庫県加古川市「スマートシティプロジェクト」
加古川市では、ICT技術などを活用し、子どもや高齢者などが安心して過ごせる街作りを目指し、「スマートシティプロジェクト」を推進しています。市内に設置された1,475台の「見守りカメラ」と、位置情報が確認できる「ビーコンタグ」による「見守りサービス」が既に運用中。ビーコンタグの検知機能を備えた「かこがわアプリ」も無料提供しています。
参考リンク:https://www.city.kakogawa.lg.jp/material/files/group/10/smartcity_kousou.pdf
10. 福岡県福岡市「FUKUOKA Smart EAST」

福岡市では、天神や博多といった市街地からほど近い箱崎地区の50ヘクタールという広大な土地を利用し、「FUKUOKA Smart EAST」プロジェクトに取り組んでいます。自動運転によるコミュニティバスや歩行を支援するパーソナルモビリティ(モビリティ)、IoT端末を活用した子ども・高齢者の見守り(ウェルネス)などのサービスの供給を目指し実証実験を進めています。
参考リンク:https://smartcity.fukuoka.jp/
11. 香川県高松市「スマートシティたかまつ」

高松市では、IoT端末などを活用してデータの収集・分析などを行う「スマートシティたかまつ」を推進しています。現時点で共通プラットフォーム(FIWARE)が構築され、ウェアラブルIoT機器を使った地域包括ケアシステムの構築(福祉分野)、制御ボックスや水位センサーを設置した災害時の安全対策(防災分野)など、実験データの収集がはじまっています。
参考リンク:http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/shinotorikumi/machidukuri/smartcity/index.html
12. 埼玉県さいたま市「スマートシティさいたまモデル」
さいたま市では、副都心をなす美園地区を理想都市の縮図とすべく、市民生活の課題解決・向上を目指して生活支援サービスの提供を行なっています。具体的には、「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」を拠点とし、「モビリティ」「健康」「エネルギー」「コミュニティ」「データ」の5つの分野を中心に、AI、IoT、ビッグデータを活用した新サービスの構築を目指します。
参考リンク:https://www.city.saitama.jp/001/009/004/004/001/p079111.html
(13)熊本県荒尾市「荒尾ウェルビーイングスマートシティ」
荒尾市では、2020年に、「荒尾ウェルビーイングスマートシティ」を始動。すべての市民が幸せを感じ、心身ともに良好な状態を持続できる安全な都市の構築を目指しています。住民の健康管理を目的としたセンシングによる情報の収集・共有のほか、自立的で災害に強い電力インフラシステムの構築、MaaSの導入が進行中です。
参考リンク:https://www.city.arao.lg.jp/q/aview/546/17665.html
スマートシティは、自分が住む街が抱える課題の解決策
この他にも、国内の至るところでスマートシティ構想が進められています。まだ大きな成果は得られていませんが、多くの人が、スマートシティの取り組みを、自分が住む都市の課題を解決する方法として認識することができれば、実現に向けた動きがより活発になるはずです。自分の住む街がどんな取り組みをしているか、ぜひチェックしてみてください。
コメント